第 3877号2023.06.04
「白いお花」山口 ちひろ
私は白いお花が大好きです。 なぜなら、白いお花に救われた思い出があるからです。 当時の私には、子供の頃からの夢がありました。それは、 ある劇団の舞台に立つ夢でした。 毎日レッスンに励み、全身全霊を傾けて試験に臨みましたが、 不合格となりました。 夢破れて目の前が真っ暗になり、虚ろな心でさまよっていた時、 突然届いたのは白いチューリップと白いマーガレットの花束でした。 花束には親友からの手紙が添えられていました。 「頑張っていたからすごく落ち込んでいると思うけど、また 真っ白な気持ちで新しい夢に向かってほしい。私の気持ちが 少しでも届いたら嬉しい。」 涙で白いお花が霞んで行き、目の前に光が射して来るのを感じ ました。 そうだ!!真っ白な気持ちでゼロからスタートするんだ!! 暗闇が突然明るくなって、眩しいほどでした。 それから数年後、白い花束を送ってくれた親友と同じ航空会社 に入社し客室乗務員になり、フライトする夢を叶えました。 あの時私を救ってくれた白いお花は、心の真ん中でずっと咲き 続けています。 そして、優しさを白いお花に託して伝えてくれた親友のことが、 私はずっと大好きです。