第 3419 号2014.08.03
「 ミョウガの香り 」
匿名
1月に急死した叔母の新盆が執り行われた。田舎のお盆は人が大勢集まるが、新盆となると更に近所のお助け女性たちが集まり、葬儀にきたであろう方々が次々と線香をあげにやってくる。
そのたびに、あがってお茶ならぬお盆のご馳走を振る舞い、昔話に花を咲かせながら亡き叔母を思い出しすすりなく方までいてくれる。有難いことである。都会の新盆はこれほどまでに人は集まらない。せいぜい親戚が義理で集まるくらいである。
叔母は民生委員をやっていたから、仲間も友人もとても多かったようだ。今回は、その中の一人がやってきていて、「あなたの意志を引き継ぐといってくれた人がようやくでたのよ」と涙を流して線香をあげてくれた。良かった、とにかく叔母のやってきたことが評価されていたのだから、嬉しいことじゃないか。
金髪の30代そこそこの男性がきちっとした格好でやってきた。
どうやら話を聞いていると、飲み屋の店長らしい。今日もこれから同窓会の予約が入っているので店にたつという。お盆の最中に帰省した方々が同窓会をするのだろう。この暑い夏、ビールが染み渡るだろう。叔母は一杯しか飲まなかったけれど、天国では暑いからじゃんじゃん飲んでいるかもしれない。
最近、仕事にかまけて友人との交流もご無沙汰だったけれど、ちゃんと人付き合いもしていかなくちゃいかんなーと跡継ぎのお嫁さんのつけたミョウガのつけものを食べながら、ああ、叔母ちゃんの匂いがする、ふとどこかにその姿を探してしまう。
お盆だから帰ってきているのだろう。皆、元気でやっているから安心してね。