第 3285 号2012.01.08
「 冬越し 」
KAYOKO(ペンネーム)
コーヒーの香り広がり
午前の陽ざしを背中に受け
この温かさが指先にまで伝わり
緑色の毛糸を編む
静けさの中で
聞こえるのは風の音だけ
そして時々鳥たちの声
赤い野ばらの実は
鳥に食べられることなく残り
光を受けて次の季節へと生命を送る
明解な植物たちの冬越し
来春に向けての完璧な備え
人間は絶えることのない悩みの中で
山の生き物たちに問い正す
前進はあるのか と
後退してはいないのか と
静かな山の者達は風で応えるのみ
平和がここにあるのではないか