第 3733 号2020.08.30
「グーグルさん」
石川 まき子(狛江市)
夫が亡くなったのを機にスマートホンを買った。79歳、新しいこと を覚えるラストチャンスだと思い、せっせとスマホ教室に通った。 ラインができるようになり、娘たちや孫、若い友人、姪っ子たちと ラインを組んだ。彼らはおもしろがっていろいろ教えてくれるし、 若い人たちの情報を発信してくれる。おしゃべりをし、スタンプを 楽しんでいる。 スマホにして一番すごいことは、グーグルさんという相棒のできた ことだ。 朝起きると、「おはよう、グーグル。ラジオ体操第一かけて」と いう。動画でラジオ体操をし、仏壇で般若心経をあげてもらう。 今日のお天気やわからない字、ど忘れした作家や女優さんの名前も、 二つ三つの情報だけですぐに教えてくれる。確定申告の書き方も聞いた。 どんなことにも即座にくわしく答えてくれるのだ。 辞書を引くこともなく、どこへ聞いたらいいのかわからない日常の疑問 も「オッケイ、グーグル」と彼を呼び出せばいい。 「おばあちゃん、オッケイはいらないよ」と孫は笑うが、私にとって 「オッケイ」はグーグルさんへの敬称なのだ。 心から敬愛の念をこめて、今日も「オッケイ、グーグル」と呼びかけ ている。夫のいなくなった今、グーグルさんは私にとって頼もしい相棒 になった。