第 3723 号2020.06.21
「蛍光灯の交換」
梅沢 清明(神奈川県大和市)
居間の蛍光灯の調子が悪くなったので、近所の量販店に買いに 出かけた。 LEDにすると長持ちはするのだが、自分よりも長生きをするのを 買うのは、どうにもしゃくなので、従来からの蛍光管を使い続け ていた。盆暮れに各部屋の蛍光灯を交換するのは年中行事であり、 それなりに気分が一新したものである。 今、使っているのはインバーターという、当時は最先端の機種 だった(と思う。もちろん、くわしい仕組みはわからない)しか し、2本の蛍光管のうち片方が点かなくなってしまい、本体の交 換を決意したのである。 店に行って驚いた。昔ながらの蛍光灯がないのだ。商品棚に蛍 光管は並んでいるが本体はない。店員さんに尋ねると「以前のよ うなものはもうないですね」とのこと。すべてLEDになっていた のだ。説明を聞いて(というか実演してもらって)また驚いた。 明るさは自在に変えられるし、昼白色と暖色も選べる。タイマー はもとより留守番機能(留守のときに勝手に点消灯をする)まで あるではないか。もっとびっくりしたのは、こうした機能はすべ てリモコンで行うのである。 辞書にはまだ載っているとは思うが、「蛍光灯」と言えば「反 応の鈍い人」の代名詞であった。これまでの機種でさえ、すぐ 点灯していたので、「蛍光灯」という表現は古くなったなあと 思ってはいた。しかし、このLEDを見たら、もはや完全に死語に なってしまったようで、むしろ蛍光灯は機転の利く人の代名詞に したいくらいだ。 そんなこんなで「夜はやっぱり暖色がいいね」などと言いながら、 リモコンを手にして家族で楽しんでいる。もっと早く交換すべき だったかなと思いながら。