第 3722 号2020.06.14
「おじいちゃんとおばちゃん」
北原希代子(埼玉県戸田市)
バスを待っていたら、もう背の腰も曲がって小さくなった老夫婦 が、手を繋いでバス停にやって来ました。
80をゆうに越えているように見える、ふたりのその手はしっかり と繋がれて、お互いを支え合っているように見えました。
あんな歳になっても仲良しで羨ましいなと思って見ていたら、お じいちゃん、やって来たバスに思わず手を挙げて合図、おばあちゃ んは、慌てたように、挙げた手を持って「そんなことしなくても バスは止まるから!」と、おじいちゃんに注意しました。
おじいちゃんは、こうしておばあちゃんと出掛けるのが楽しいら しく、怒られたってニコニコと嬉しそう!
おばあちゃんは、バスに乗るとすぐにふたり分の座席を確保しま した。
席に着けば「前の手摺りに掴まって!」と、おじいちゃんの手を とって手摺りを掴らせ、まるでお母さんと小さな子どものようで す。
手摺りを持たないもう片方の手は、おばあちゃんの手をしっかり と握っています。
繋がれた手は、おじいちゃんにとってはかけがえのない命綱!
おばあちゃんにとっては、大切な大切な生きがいです!
ふたりの手と手と温もりが、いつまでもいつまでも続きますよう に。