第 2970 号2005.12.25
「 幸せなひととき 」
松 田 玲 子(福井市)
東京に出てきたのはあの日から1年ぶりだわ
いい天気だし そうだ 銀座に行ってみよう
私が大学生のとき 洋品店でアルバイトしていた頃と今も変わっていないと感じる銀座の街並なつかしい思いを胸に ブラブラ歩いてみると買いたい物があるわけでもなく 大きなガラスウィンドーに映った いまの私の姿
30年もの時間が経ったことを フッ・・・と感じた
昨年秋 東京にきたとき 一人息子が「大学をやめたい」と暗い顔で話してた
北陸から遠く東京にいて いろいろ悩んだであろう息子の顔を見た時
親として何も言えずだまって帰ったあの日・・・忘れられない日
半年後「やっぱり大学卒業するよ」と元気な声の電話があった
それは都会で大きく成長した脱皮の声に聞こえた
そして今日 仕事でひとり上京した私に「アルバイトあって今日は母に会えないよ ごめんネ」受話器から聞こえるのは母思いのいつもの息子の声だった
銀座の街を行き交う車や人をのんびりながめながら“今私も東京にいる”ひとり喫茶店でコーヒーをのみ のんびり時間を楽しめる幸せ
帰りの新幹線に乗るまで まだ時間はある
しばらくここにこうしていよう・・・